経世済民戦線

財政出動や金融政策ではない、第3の経済政策を提案します(バナー広告が表記されますが当方とは無関係です。仮にDL表示があるバナーが出てきても無視を強く推奨します。)

管理通貨制度~雛形~

 物価を安定させるには、増えた需要分だけ、供給も増えなければいけません。
 減った需要分だけ、供給も減らなければいけません。

 消費市場で需要が増えた場合(ディマンドプル・インフレ)の複式簿記を使った仕分けは以下の流れになります。

 勘定科目は便宜上、適当に作りました。
 銀行と中央銀行、企業の3者間の信用創造の流れです。

 中央銀行(日銀)発行時仕分け
 (増えた需要量≒貸付金)D円   (日銀券)D円 
 銀行側
 (日銀券)D円  (増えた需要量≒借入金)D円
 (貸付金)D円  (日銀券)D円
 企業側
 (日銀券)D円  (借入金)D円
 企業側設備投資
 (設備=供給能力=供給量)D円 (日銀券)D円
 市場に企業が新たな生産能力で財・サービスを供給

 企業側
 (日銀券)D円 (売り上げ=需要量)D円
 この時、市場で増えていた需要に対し供給が追い付き、均衡して、物価が安定します。コストプッシュ・インフレではないので、価格も下がります。マクロ経済で最初に学習する、需要曲線と供給曲線を思い浮かべてみて下さい。(但し、通貨が新たに供給された分だけ通貨価値は下落しています。)
 企業側は借入金を返済します。
 (借入金)D円  (日銀券)D円
 となります。
 銀行側はこの時
 (日銀券)D円 (貸付金)D円
 となります。ここまでが現在の管理通貨制度における簡略化した流れです。
 発行時の日銀仕分けで、借方(増えた需要量)という風に実際には仕分けを切っていませんが、需要拡大し続けていた(GDPが成長し続けていた)時は、中身は本質上この形になっています。
 ですが本来は、これ以降に
 銀行側
 (増えた需要量≒借入金)D円 (日銀券)D円
 として日銀側
 (日銀券)D円  (増えた需要量≒貸付金)D円
という風に、日銀に日銀券を返還して消却する必要があります。
 最終的に、この形で一巡することで、
 企業側の生産能力(生産数)が増えたまま変わることなく増えた需要量と均衡し、物価が安定。中央銀行が供給した通貨を回収し消却することで、通貨量が需要の増える前の段階に戻り
 通貨価値も一定を保ち続けるのです(通貨価値が最終的に常にある一定価額に収まることになるわけです)。
 人口が増えることで需要が拡大している場合は、その分だけ返還消却する必要はありません。(ちなみに諸外国が同じ会計処理をしなければ、外国為替市場で理論上の対外通貨価値が上昇し続けます。)
 が、人口が増え続けた場合は土地や資源には限りがあるので、物価が高進したままの状態になってしまいます。供給したくても資源が足りずに、生産活動が必要十分な量できなくなることがあるからです。
 人口拡大政策を経済政策の根幹に位置付けてはならない理由がここにあります。
 持続不可能なのです。
 人口拡大による通貨供給は、人々の保有する通貨量を同じ割合増やすことで、資源の価値を通貨の額面価額量から相対的に把握する、という性質を持つことになります。


 さて、現在の管理通貨制度では、上記太字の形になっていません。
 (なぜなら、管理通貨制度に関する研究が未成熟で、複式簿記上で説明をどの研究者もまともに行っていないからです。未成熟なため、定説が存在せず、供給された通貨は現在の制度ではそのまま消却されずに市場に残ったままになっています。)

 また、消費性向・貯蓄性向が政策によってコントロールされず、自然調整もされないため、不必要に企業・国・個人のうち、個人のところでお金の流れが止まっています。

 人々の間で購買力の移動が起きない。

 そのため、消費市場で需要が減って、物価が下落しているというのが、解釈として筋が通っているのではないでしょうか?