経世済民戦線

財政出動や金融政策ではない、第3の経済政策を提案します(バナー広告が表記されますが当方とは無関係です。仮にDL表示があるバナーが出てきても無視を強く推奨します。)

新型コロナ肺炎対策のための財源について~「広域マクロ経済・財政同期」~

 新型コロナ肺炎による医療崩壊阻止のため、主要国の多くが都市封鎖(ロックダウン)をし、経済活動の禁止・自粛を余儀なくされている。

 この状態が1年続けば、GDPは最低でも-20~-30%減じることが予想される。2年続けば、累積でもっと減るであろう。

 ロックダウンを強化すればするほど、不要不急の産業の停止を余儀なくされるのだから、これは不思議な事ではない。

 GDPがいくら破壊されるのか、

 というより、感染症対策では、人の移動を制限するため

 GDPをいくら犠牲にして、どの産業を停めるのか?

 というのが目的になるからである。

 

 このロックダウンの期間、企業倒産の阻止、労働者の生活保障をしなければ、新型コロナ肺炎流行終息後、経済活動は戦後の焼け野原の状態から出発することになる。

 だから、なんとしてでもこれは阻止しなければならない。

 しかし、たとえば日本でGDPの200兆円(40%)を犠牲にして、経済活動を停止するにしても、それを国が満額保証するとした場合、一般会計予算の2倍の別予算が必要になる。

 まさしく天文学的な数値であり、日本はおろか、諸外国にもそのような体力は無い。

 これはまさしく戦争である。

 ではどのような方法で対策のための財源を創り出せばよいのか?そこで私は

 「広域マクロ経済・財政同期」

 という方法を提案したい。

 この方法の本質は結論から言えば、無限のマネタイゼーション(「お金が無いなら刷ればいいじゃない」)による財政ファイナンスである。

 私はこのマネタイゼーションが本来大嫌いである。

 管理通貨制度の雛形を複式簿記で説明し、法定通貨の価値が数理上何によって担保されているのかを理解している立場として、これを経済拡大のための政策として行えば労働者の自発的失業を促してしまい、働かなくても食べていけるという状況は、間違いなくベネズエラナウルのような経済破綻をもたらしてしまうと確信しているからである。

 このはてなブログや、ツイッター、ヤフー掲示板での私の書き込みを知っている人は、私がどれだけMMT量的緩和政策を嫌悪・憎悪しているのかご存知の方もいるだろう。

 しかし、新型コロナ肺炎対策におけるロックダウンは、人々を家の中に極限レベルで封じ込め、消費活動の抑制を行うものである。

 従って必要な対策は経済縮小を阻止するための政策なのであり、拡大のための政策ではない。経済縮小の阻止とは言い換えれば、財やサービスの供給能力を破壊させない、ということである。

 企業が倒産せず、労働者が解雇されず、生活保障がされていれば、疫病の終息後に、経済活動を停止した状態の時点から、そのまま経済活動を再開できる。

 これがいかに重要な事なのかは、改めて言うまでも無く、これを読んでいる勤労社会人のすべてが理解しているはずだ。

 

 「広域マクロ経済・財政同期」

 は繰り返すが、マネタイゼーションによる財政ファイナンスである。ゆえに悪性インフレを極限レベルで抑止するための条件付けが必要になる。以下に3つ記す。

 

 ①世界のGDP(財やサービスの供給能力)の大部分を構成する国々が、それぞのGDPに対して同じ割合でマネタイゼーション(具体的方法は各国に任せます)をすること。

 最低でもG20に参加を促し、可能であれば食糧輸出をしている途上国も参加させること。

 このマネタイゼーションは1%でも抜け駆けさせないようにしてください。日本でGDPの40%をマネタイゼーションするのであれば、他の「広域マクロ経済・財政同期」に参加する国も必ず40%を守らせること。

 この第1の条件は為替相場由来の悪性インフレを抑えるために、絶対に必要不可欠なので、この第一の条件は必ず達成すること

 

 財やサービスの供給能力に制限が掛かっているため、超過需要による悪性インフレを抑えるために、個人への給付は継続性を伴いつつあくまで生活保護レベルである事。残りは事業倒産の阻止、そして解雇者を一人も出さないための予算、第3の条件のための予算とすること。

 この第2の条件は国内の需要と供給に基づく悪性インフレを抑えるために必要不可欠なので、これも絶対に達成すること。

 ただし、中国が既にロックダウンを解除し経済拡大のために動き始めているので、参加してもらう場合、中国政府は②~④の条件について特別留意すること。

 

 ③ロックダウンをしている間、ライフライン維持として、一部製造業、生産業者、物流、小売り、医療従事関係者、警察、消防、電気・ガス・水道、政治・行政を麻痺させないための一部公務員、そしてこれらの業界のすそ野産業の従事者は、感染リスクを抱えながら働き続けることを余儀なくされるため、彼らの保障、より具体的には賃金の特別手当を国が予算を拠出し手厚くすること。

 第3の条件は失敗すれば、第2の条件のために自主退職を選ぶ人が増加し、その時点で感染症対策も、経済も破綻します。故にこれも絶対に達成すること。

 全国民に悪性インフレを抑えるために必要であることを納得させるため、耳にタコができるくらい、都度何度も説明を繰り返すこと。

 

 各国企業はこの予算を悪用して、海外企業の敵対的買収の資金としないこと。これは火事場泥棒阻止の目的もあるが、必要な医療資源を特定の国が囲い込むことを阻止するためにも必要な措置である。

 

 ②~④はともかく、①の条件を達成することは、通常であれば至難の業である。しかし幸か不幸か、G20の大半の国々がロックダウンに入りつつあり、思想の違い、政治的対立が有っても、大同団結して対処しなければ、経済に致命的な破壊が待っていることはどこの国も理解しているはずである。

 ①~③の特殊条件を達成すれば、悪性インフレを抑えつつ、無限のマネタイゼーションによる財政ファイナンスを成功させることができる。④の条件は道徳的配慮である。しかし守ってください。

 

 繰り返すが、ロックダウンは国家予算の何倍もの予算が必要になる。「広域マクロ経済・財政同期」は、経済活動と感染症対策の二律背反を、背反とさせないためにはどうしても必要になる緊急避難措置である。(※繰り返すが経済拡大のための政策としては絶対にやらないこと。それには別に「所得税法人税の2段階徴収制度」を提案している。そちらを参照のこと。

 日本の政府、財務省、日銀の関係者は、諸外国にこれを提案し、早期の実現を図るようにしてください。

 ただし、他に有効な解決策があるのであれば、無理にとは言いません。